平成23年度講習会の実施報告

平成23年度講習会の実施報告

 平成23年10月2日(日)、藤紫会の平成23年度総会と合わせ、講習会が開催されました。今回は『力のコントロール』というテーマで、東京医科歯科大学臨床教授の内山茂先生に『「チカラノコーディネーター」になろう-歯科衛生士がますます楽しくなる 見えない「力」の読み方-』についてご講演いただきました。

 歯科衛生士である私の視点から今回の講演をサマリし、感じたことを記載させて頂きます。
 私たち歯科衛生士にとってSPT(歯周疾患の予防・治療後のメインテナンス)は、患者さんと歯科医師の橋渡しをする重要な役割を担っています。そのメインテナンス時にチェックすべき二大要素は「炎症のコントロール」と「力のコントロール」です。
 炎症のコントロールは、患者さん自身が行う「セルフケア」と歯科衛生士が行う「プロフェッショナルケア」が挙げられます。これは、患者さんからもその相関関係は理解しやすく、正しい知識で「セルフケア」を行い、「プロフェッショナルケア」で専門家の目で異常がないかを確認・補完することで炎症をコントロールしていくことです。
 それに対し力のコントロールは、臨床上その実態がわかりにくく、医療方式が確立されていないため、継続した力のコントロールが困難といわれています。そのため、力の問題は歯科医師・歯科衛生士のチーム医療で対応しなければなりません。力は目には見えず分かり易い統一した指標がないために、日々メインテナンスを行っていても、人によっては歯根破折が起こり、破折した歯を抜かなければならなくなる事もあります。力は、加齢、性格、咬合、ストレスなどの影響を受けながら、少しずつ変化しています。歯科衛生士は過剰な咬合力に気付き、メインテナンスの度に根気よく患者さんの口腔から読み解き、歯科医師に報告する必要があります。
 歯科衛生士に求められる技術として挙げられるのは、「力を察知する」ことです。メインテナンス時に「歯の動揺と骨レベルの変化」「局所的なポケットの増加」等から、担当の患者さんの咬合力の強さを把握する事に努める事が大切です。それによって、力が原因で痛みが生じている事を発見できる様になります。
 知覚過敏がある患者さんにも注意が必要です。中でもブラキシズムに伴う知覚過敏は歯に強い持続力が加わるため、咬合性外傷を引き起こしやすいと言われています。患者さんが知覚過敏を訴えたら、ブラキシズムを疑いましょう。
 力の予防策は、「かみしめ」を防ぐことです。患者さん自身が「かみしめ」を無自覚に行っている場合も多くありますが、一方的に患者さんに対して「かみしめ」の指導を行うことは患者さんにとって負担に感じる原因となり、結果的にメインテナンスが長続きしません。
 指導方法としては、「かみしめ」の解消策を具体的に提示し、「かみしめ」としてではなく口内環境の正常化として患者さんに伝える事が有効です。「かみしめ」は全顎的に起こる問題です。指導方法としては「唇を閉じて、上下の歯を離し、頬の筋肉の力を抜く」ことを意識しましょう。スプリント(マウスピース)をはめて寝る方法も予防の1つです。たとえ力によって歯根破折したとしても炎症のコントロールがしっかりできていると破折した歯があっても維持できる場合もあります。維持するには、硬いものを控え、患者さんの歯根破折した固有の問題を探ることが大切です。

 今回の講演は最初に先生から講演会参加者の歯科衛生士経験年数の質問がありました。講演会の内容は専門用語が多く、言葉が難しいからです。先生は講演中、言葉が難しいKEY WORDが出てきたとき、解説をしながら話をしてくださいました。また、先生のご厚意で様々なサンプル製品を頂き、力のコントロールの講演だけでなく、メインテナンス時にお勧めの研磨ペーストについても話を聞くことができ、大変勉強になりました。講演時間が2時間と短い時間ではありましたが、とてもわかりやすく、時間が経つにつれ先生のユニークなお話に惹かれました。最後に質疑応答では、皆さんからたくさんの質問が出たことから、今回の講演内容は現場よりのとても興味深い内容だったことが分かります。患者さんと日々向き合っている、メインテナンスの問題の解決の糸口になったのではないでしょうか。歯科治療は目まぐるしく進化しています。今回の力のコントロールの講演が、歯科衛生士として歯科医師と連携し、1人でも多くの患者さんのQOLの向上に繋がるようこれからも勉強しなければならないと感じました。

(25回生 AT)

 今後も藤紫会では講習会や研修会等の企画を行なっていきたいと思いますので、ご意見などがございましたらお寄せください。

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東京歯科衛生専門学校 藤紫会
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